特に物理学初心者にオススメ、MOOCの3講義

私の畑は物理ではなくコンピュータサイエンスの方だ。Javaでのプログラミングを主にやっていた大学院時代、大学時代から興味を持っていた物理学の講義でも受けたいなぁと思っていた。その頃はMOOCが日本でもやっと有名になってきたくらいの時期であり、無料で手軽に大学の授業を受けられるのであればと思い、MOOCで物理学の講義3つを受けた。3つとも充実した講義であった。

(余談)なぜ私が物理学に興味を持つようになったか。私自身はいわゆる理系に属していたので、高校ではもちろん物理は学んでいたが、大学では物理は1年生の時にちょっと学んでいたくらいの初心者である。数学はわりかし好きだったが、物理はむしろ嫌いだった。変換点となったのは大学3年の時にCATVの番組(?)を見たこと。超弦理論の話がほんのちょこっと出てきて「世の中は1次元のヒモでできている」という話を聞いた。それ以来興味を持ち、KavliIPMUの講演会に参加したり、本を読むなどして教養を深めてきた。MOOCでの受講も、私の中では教養を深める一環として位置づけている。

本記事の主旨は以下である。 ■MOOCで物理学の講義を受けようとしている、もしくは単純に物理学を学びたい物理学初心者の方に、私が過去に受けた講義を知っていただいて何かしらの参考にしてもらいたい。

そこで、MOOCの概要を(私の主観も若干交えて)簡単におさえつつ、私の受けた講義の紹介をしたい。

なお、先ほども述べた通り私は3つの講義しか受けていない。その3つとは、宇宙物理学概論、古典力学、量子力学の3つである。私が受けた講義以外にもMOOCの各プラットフォーム内では多くの講義が登録されている。そのため、自分の興味のある講義を利用する場合には、各プラットフォーム内で検索することをお薦めする。

MOOCとは

概要

もう世の中で利用され始めて久しいため、ご存知の方も多いだろうが簡単にMOOCの概要をおさえる。MOOC(Massive Open Online Course)は極簡単にいうと、インターネットを通じて大学の講義などが受けられるシステムの総称である。MOOCにカテゴライズされる代表的なプラットフォームを以下に列挙する。
プラットフォーム名URL代表的な機関
Couserahttps://www.coursera.org/Stanford University, Princeton University, 東京大学
edXhttps://www.edx.org/MIT, Harvard University, 京都大学
Stanford Onlinehttps://online.stanford.edu/Stanford University
JMOOChttps://www.jmooc.jp/日本企業・大学・官庁

上記表を見ても分かる通り、それぞれのプラットフォームで参加している大学や企業が異なる。受講する際には、受けたい大学の授業がどのプラットフォームに属するのかなどを確認した上で初期登録することをお薦めする。なお、各プラットフォームでUI(ユーザインターフェース)や機能はそんなに変わらない印象を私は持っている(少なくとも私が利用した上3つのプラットフォームに関しては言える)。

日本の大学、もしくは日本語で講義を受けたい場合には日本の大学・企業が参加しているJMOOCがいいだろう。海外の大学・企業がメインのプラットフォームは、日本語の音声・字幕の講義もあるが、かなり少数の印象である。

修了証

MOOCでは講義を修了すると修了証がもらえる。修了証が何に役立つかは微妙だが、私は少なくともモチベーションの一つにはなった(Linkedinのプロフィールに登録することはできる)。ただし最近はお金を払わないと修了証がもらえないコースが増えたような印象だ(私の主観)。少なくとも私が受講していたコースは無料で修了書が貰えた。もらうと意外と嬉しいものである(下図)。

私がもらった修了証(Stanford Online)

エモ情報

講義を修了するためには好きという気持ちかパッションが必要だと思う。でないと長続きしない。 やらなくても特にお咎めはないので怠けることは簡単。そのため、講義のエントリーだけして受講しない人がかなりいるらしい。かく言う私もいくつかの講義はエントリーだけして受講していない。

私が受けた講義の紹介

私は上記に挙げたMOOCのプラットフォームの中で、JMOOC以外のCoursera, edX, Stanford Onlineで各1つずつの講義を受けた。それぞれの講義について紹介する。

#講義名プラットフォーム名URL
1From the Big Bang to Dark EnergyCousera (University of Tokyo)URL
2Classical Mechanics (MITx - 8.01x)edX(MIT)Youtube上のURL
3Quantum Mechanics for Scientists and Engineers (Stanford University)Stanford Online(Stanford University)URL
 

From the Big Bang to Dark Energy (University of Tokyo)

村山斉教授の宇宙論の講義。村山先生といえば東京大学のKavli IPMU(カブリ数物連携機構)の機構長をされており、またCalifornia Barkeleyの教授。ちなみに、市民講座やKavliIPMUの講演会など含めて、村山先生のご講演を私は4回ほど拝聴している。また、ご著作も多く、「宇宙は本当に一つか」など読ませていただいていた。 タイトルにもある通り、宇宙の始まりからDarkEnergyまで現在の宇宙理論の概要をさらっと4週(4コマ)にわたって講義する。難しい数学は使用しないため、初心者でも問題なく受講できる。ただし、先述した通り講義は英語で行われるので英語が不得意な人は若干厳しいかもしれない。 現在の宇宙論の概要を1ヶ月でさらっとサマライズしたい人にはお薦め。

Classical Mechanics (MITx - 8.01x)

有名なWalter Lewin教授の古典力学の講義。Walter Lewin教授はNHK白熱教室での講義や著作「これが物理学だ!」で有名。物理学を簡単な実験を交えながら面白く教えてくれる。1授業に1つ面白い実験を入れているため飽きない。例えば、振り子の周期(T)は繋がれた物体の重さ(M)に依存しないことを教える場合、実際に天井から吊られた振り子を用意し、①普通の振り子の周期と、②振り子に繋がれた物体上にLewin教授が乗った場合の周期を計測し、周期が同一であることを確認する。こんな教え方をする先生が日本にいるだろうか。身をもって物理学の面白さを教えてくれる。 難易度としては古典力学の基礎的な内容なので、微積を習得している高校生でもついていける内容だったと思う。 ただし、残念ながら現在はedX上ではClosedになっているようだ。そのため、edXのコースを受講することはできないが、Youtube上に動画がアップロードされているのでそちらを参照して学習されるとよい。

Quantum Mechanics for Scientists and Engineers(Stanford University)

Stanford UniversityのDavid Miller教授の量子力学に関する講義。正直David Miller教授は存じ上げていなかったが、量子力学の授業を探していたら本講義を見つけたので受講した。内容としては、基本的にはシュレディンガー方程式の理解と解法の習得、最後は摂動論などが含まれていたと思う。

量子力学に関しての事前知識は必要なく、一から教えてくれる。ただし、量子力学自体が難しいので自習時間は結構必要であったと記憶する。上記2つの講義よりは難易度は高かった。

まとめ

以上、私が過去に受講したMOOCの講義を紹介した。MOOCの受講自体は極簡単にできるので、受講したことのない人は是非一度お試しあれ。本記事が何かのご参考になれば幸甚の至りである。