VR10.0!物理法則を超越した世界の面白さ。

AR/VR/MR。現実と仮想の融合。2016年はVR元年とも言われ、キャズムを超えるとの話もあったが、まだ微妙な状況の模様だ(※1)。とはいえ、世間一般にも認知が拡大している。 ※1 VR/ARに今、参入する意義 ―20年後の勝者になるために― https://www.fujitsu.com/jp/group/fri/column/opinion/2018/2018-1-4.html

VRはゲームやシミュレーションなどに利用されている事が多いようだ。最近では、VRチャットやVR会社など、現実の物理的な機能を仮想空間に適応したサービスも構築されてきている。これまでのVRサービスの傾向を考えてみると、主は物理空間であり、仮想空間は主に従属する。つまり、簡潔かつ大雑把に述べると、物理空間事象の真似事という傾向が強いように思う。 (※最近のVRの傾向を詳細に調べているわけではないことは断っておく。)

しかし、VRの性質を勘案するともっと面白い発展を考えられるのではないか?本当に実現する未来かは不明だが、VRの可能性について、SF的に大げさに考えてみたい。 ※非専門家のただの妄想なので、ご容赦ください笑。

はじめに

映画「サロゲート」、「アバター」をご覧になったことがあるだろうか。



歴代興行収入世界1位の「アバター」をご覧の方は多いだろう。衛星パンドラ上で巻き起こる、先住民族ナヴィと欲丸出しの人間との争いを描いた映画である。「サロゲート」は、”生の人間”と”人間型ロボット(裏で一対一対応した人間と脳内リンクしている)”が共存する世界を描いた作品だ。人間とロボットの関係という観点から見ると、基本的には「アバター」「サロゲート」はほぼ同等といっていい。だいたいこんな感じ。

  • 人間とアバター(ロボット)が共存する世界である。
  • 人間は、アバター・人間間脳内リンク装置を用いて、人間自身の体を動かさずにアバター(ロボット)を操作できる。
  • アバター(ロボット)は物理空間に存在する。

近未来的であり、面白い世界観である。この論考では、この「人間とロボットの設定」に注目したい。

物理空間の不自由さ・制約

最も注目したいポイントは、このアバター(ロボット)は物理空間上にいる設定である、ということだ。物理空間というのは(当然だが)物理法則に逆らうことはできない。将来的に物理法則をより詳細に知ることが可能になり、重力を操作できるようになったとしても、物理空間に存在するアバター(ロボット)は物理法則を超えることはできない。基本的には、如何に未来になったところで、ただ知能や科学技術力が上がるだけである。

そして、物理法則という制約は、よくよく考えてみると意外と大きいように私は思える。例えば、簡単に空も飛べない。

VR世界は物理法則を超越する

ではアバター(ロボット)がVR世界にいる場合はどうだろうか、という疑問が湧く。そこで、VR世界の本質を考えてみる。大局的にみた場合の特筆すべきVRの本質は以下だと考えている。

  1. 物理法則を自由に操作可能(=色んな宇宙を作れる)。
  2. 高速伝達可能、コピペ可能

それぞれ見ていく。

VRで世界を0から構築することは物理法則を作る神の視点に立つこととイコールと考えられる。物理法則が自由に操れるというのは様々な可能性がある。例えば、とある物理法則の設定の元では、自分が住んでいる部屋を複製することや、空を飛ぶこと、映画「インセプション」のように地面を90度折り曲げてその上を歩くことだってできるだろう。それがVR空間なら可能だ。

そして、VR世界では全てがデジタルデータである。そのため、この世界の中の物理オブジェクトは全て高速に伝達が可能であり、コピー&ペーストが簡単にできる。

コピペが可能なため、生産側としては限界費用を0にすることが可能だ。また、新しくプロダクトを作った後は生産ラインは当然必要なくなる。また、ある地点からある地点へ届ける際、当然配送工程は必要なくなる。ただのデジタルデータなので、瞬時に届ける事が可能である。 ※限界費用(Marginal Cost)とは、物を一つ追加生産する際のコストである。

人間はVR空間に生きてみては??

これらのVRの性質を踏まえると、アバター(ロボット)をVR空間に配備した世界って面白いのでは?

つまり、人間は、アバターで用いたようなカプセル装置に入り、VR空間内の自分(仮想的な自己)とリンクし、その中で実際の生活を送る。例えば、仮想空間で何かと衝突すると、実際の現実空間にある物理的な体には衝撃はないが、脳は実際にぶつかったように感じる。仮想空間で何かを掴むと、脳内では掴んでいるように感じる。そのため、物理空間内でのハプティクス的なデバイスはもちろん不要である。ただし、仮想空間で何かを食べても実際に物理的な体内に食べ物が入る訳ではないので、物理的身体の健康状態を安定させるために、定期的に栄養分を自動点滴などが必要になる。

この世界では、物理法則に縛られる必要のない生活が待っている。更にいえば、そのVR世界もマルチバース的に色んな世界があっていい。今はVRアセットとして様々なVRオブジェクトが販売されているが、こういう世界ではVR宇宙自体が一覧になっており、自分が住みたい宇宙(物理法則と行ってもいい)を選択できるようになっているだろう。今の物理法則がいい人たちはその宇宙を選べばいいし、重力がない宇宙がいいのであればそういう世界を選べばいい。たまに違う宇宙に行きたくなったら、また違う宇宙をチョイスしてそっちの宇宙に行けばいい。もしかすると、面白いVR宇宙に関するコンペティションなどが実施されるかもしれない、これは面白そう(笑)。

まとめ

まとめると、「物理空間→主、仮想空間→従」ではなく、「物理空間→従、仮想空間→主」という主従を逆転させた世界を考えてみた。 ※物理空間→従というのは仮想的な世界を物理空間と思い込むという意味合いに近い。

無論、現在の技術では恐らくできないのだろうが、将来的な実現可能性としてはそれなりにあるのではないだろうか。現実に別の宇宙が見つかり、他の宇宙へ人間を送り込むのよりは蓋然性は高い気がする(笑)。

そして、仮に技術的に可能な時代になったとしても、人間界が本論考で提案した生き方を選択するかは分からない。倫理観などなど様々なハードルを超えないと厳しいだろう。

最後に。 この論考は何か?そう、非専門家のSF的妄想話である。ただ何となく、GUIやVRを作った人は、このような世界は当然のように見えているのだろうな、とは思う。

※ちょっとオマケ

※VR自由度表。
自由度(レベル)内容備考
0アニメ・映画制作されたものに対して介入が不可。
1Simulation型ゲーム選択肢・行動に制限はあるが、少しは介入可能。
10?本記事内容自由に行動が可能(もちろん、自分のいる世界の物理法則には縛られる)。